博士課程の生徒がブラック研究室を失踪する前に実験設備を破壊した話
ブラック研究室で卒業できず失踪する博士課程の生徒
私は理系修士学生時代に専攻内でも有名なブラック研究室に所属していました。その研究室ではこちらの記事に書いてあるように、いろいろと理不尽な事もあったりしながらも楽しく修士時代を過ごしていました。
ただ、その研究室には修士学生だけでなく博士課程の学生も数人おり、修士に比べて圧倒的に厳しい成果を要求されていました。そして博士課程だったYさんという方は博士課程の卒業条件を満たす事が出来ず、研究室から失踪する事件が発生してしまいました。
Yさんが失踪して行方不明になる話はこちらの記事に書いてあります。Yさんの自業自得な部分もありますが、少し可哀そうでしたね。
そう、簡単に書くと以下の流れがあったんです。
- Yさんが修士課程で就活をするも満足いく結果が出ず博士課程に進学する
- 私の研究室では博士課程に求める能力が非常に高く、留年率が高い
- Yさんは博士で就活して内定をもらい、解放感から実験をさぼりだす
- Yさんのさぼりによって教授とYさんの関係が悪化する
- 教授がYさんの必修単位を落とさせ、Yさんが卒業できなくなる
- Yさんと教授の激しい口論のあと、Yさんが失踪し行方不明になる
この流れです。これだけ書くとさぼったYさんの責任に思えますね。Yさんには研究室メンバーからもっと頑張って実験するように伝えたのですがYさんは聞く耳を持たず・・・残念ながら救えなかったです。
しかしこのYさん、卒業できないだけなら個人の問題なのですが、卒業できない事が確定してから問題行動を起こすようになりました。
それが実験設備の破壊工作です。といっても物理的にネジを外して分解したりとか、実験設備に飛び蹴りを加えたりとかはしません。彼は小心者なので、実験設備に入れてはいけない物質を間違えたふりをして入れたり、やってはいけない手順で設備を動かしたりという小物なやり口でした。
ただその効果は非常に大きく、実験設備を丸洗いしたり空焼きをしたりしました。ただやはりその実験設備は少しダメになってしまったようで、これまで発生していなかった謎の膜みたいなのが付着するようになりました。
これが卒業間近の1月中頃に起きたので、私は修論発表が終わっているのに泊まり込みで研究室にいました。今でも若干恨んでいますね。
設備が元に戻らない事を教授に報告すると烈火のごとくキレますし、犯人のYさんは失踪していなくなってるしで最悪でした。
ただ、この事から私は「追い込まれた人間は何をしでかすか分からない」という教訓を得ました。本当にYさんからは色々と学びましたね、いい意味でも悪い意味でも。
人間追い詰められる環境にいたら時には不法行為などを起こしかねないので、そういう環境にいるくらいなら逃げた方が賢明ですね。