[管理職必見]会社から退職者が続出している話
会社から退職者が続出し,人材が流出している話
この記事を執筆している時期は2020年11月ですが,絶賛コロナが大流行して大阪では490人も新規感染者が出ました。今後この数字が多かったのか少なかったのかこの記事を読み返しながら確認してみたいと思います。
さて,このコロナの影響もあって職場の環境が変わってしまいました。私が所属する会社はとある機械部品を作っているのですが,将来的に不要になる部品を作っています。そのため若手社員は将来性に期待が出来ず,最近離職者が増えています。
離職理由は簡単に言うと「将来性の無さ」のため,管理職の人もこの事業に将来性がある事をアピールしてくるのですが大抵のばあいは的を外しています。おそらく私の会社以外にも似たような状況の会社は多いでしょうが,私の会社で発生しているパターンを書いておきます。
管理職の方で似たような状況になっている方は参考にしてみてください。
私が思う若手の離職理由は以下のパターンです。
- このまま同じ職場にいても大したスキルがつかない
- 自分の所属する事業に将来性が見えない
- 職場内での人間関係悪化
だいたいは上記3パターンに分かれていますね。それぞれ解説していきます。
このまま同じ職場にいても大したスキルがつかない
これはかなり多いパターンですね。私はそれなりに大きい企業の生産技術職についています。そこでは生産ラインで発生する問題を解決したり,出来高を上げるための業務を行います。ただ,大企業あるあるとでも言えばいいのでしょうか。技術的に難易度の高いものは外部業者にほぼ丸投げです。
これは機械系社員に特に顕著な傾向で,機械系なのに図面をひける人はほとんどいません。3DCADもライセンスを持っている人がいないですからね。みんな3DCADの操作方法も理解していないほどです。
図面だけでなく,設備を入れるのも割と適当になります。一昔前だと生産ラインにキーエンスのカメラを入れて画像処理による自動化を行った社員がいましたが,結局キーエンスの提供システムでは生産ラインでの運用ができず,使わなくなりました。あれ700万円くらいしたんだけどなぁ・・・。
※あくまで弊社の担当がポンコツだっただけでキーエンス社の製品は何も悪くありません。
そのとき,画像処理システムの導入を担当した社員はカメラで画像を取る時は絞りでピントを調節する事すら知らなかったですからね。どういう人生送ってきたらそうなるの・・・。
しかしそれも仕方がない事で,そいつの要求仕様書には「生産ラインで自動的に画像処理による不良品判別ができること」とだけ書いてあって,他にはなんの指定もなかったんです。そりゃ無理ですよ・・・こんな仕事丸投げ体質じゃ・・・。
ただ会社では難しい部分は丸投げする事が奨励されているので,一概にその担当社員が悪いとも言い切れないんです。システム系の社員なんてさらに劣悪で,会社内で自作プログラミングしたシステムで生産ラインに適当する物を作るのは私だけです。
なぜこういった状況になるかと言うと教育資金の節約ですね。はっきり言うと教育をして専門技術を学ばせるためには教育にお金をかける必要があります。しかし専門を学ばせても身につかない社員というのが一定数いるんですね。そうなると会社視点だと「教育は有効な資金の使い方ではない」という結論に至ってしまい,難しい仕事は外に出すようになります。これが丸投げ体質の正体ですね。
一方でそうなると若手は「大した仕事を任せられない」とか「ここにいても他社で通用するような仕事はできない」といった気持ちになります。この負の連鎖はいつまでも続き,所属する事業が衰退していく兆しがみえると若手社員はこぞって転職してしまいます。
しかし管理職はこの若手の気持ちの萎え方を理解できません。
なぜなら多くの管理職は「自分はこのやり方でやってきた」とか「このやり方で事業が伸びてきた」という過去の教訓から,この企業のやり方でやっていけば事業を伸ばせるという謎の固定観念に捕らわれているからです。管理職が若手だった時は事業がまだ伸びていた事が多いので,事業がしぼんでいく時の若手とは話が合いません。
私の会社でも若手の離職に合わせて「管理職との懇親会」のような形で若手数名と部長級の管理職が将来ビジョンについて話し合いましたが,管理職側の言い分は「会社の方針通りにやっていけば事業は伸びるし若手の実力も伸びていく」という謎の発言で終わったらしいです。話を聞いた時にぞっとしましたね。
自分の所属する事業に将来性が見えない
これが2番目に多いですね。なお,この話は1番目の「このまま同じ職場にいても大したスキルがつかない」のと複合的に出てくる話です。多くの若手も「事業がこのまま伸びていって自分が一生この企業に所属できるならスキルは身につかなくてもいいかな」と思っています。私には理解できませんがそう考えている社員は基本的に成長事業に所属している場合は辞めません。
ただ,やはり自分の所属する事業に将来性が見えないのはつらいですよね。最近はコロナの影響で旅行代理店大手のJTBが6500人のリストラをすると発表しました。JTBの従業員数が2万7千人程度なので,4人に1人はリストラされるようですね。
これは若手に限らず回避したいですよね。事業が縮小していくという事は規模の大小に違いはあれどJTBのようなリストラは発生します。その時に退社でも通用するスキルがあるか,ないかは死活問題です。そのためスキルのない若手社員ほど強く「安定した事業に所属したい」という気持ちが強くなります。
この事業の安定性については多くの管理職が理解してくれます。なぜならば現在進行形で管理職も,いや管理職のほうがつよくリストラの恐怖におびえているからです。年齢的にまだ希望のある若手社員と次の会社が見つかるか分からない年配社員では当然危機感も違いますからね。
ただ管理職のほとんどが事業の衰退に対して何もできませんし,できるならとっくに事業を上向きに修正しています。これについてはほぼ八方ふさがりで管理職に打てる手はほどんどありません。せいぜい若手社員の「悩み」を聞いて,会社は若手社員に寄り添った運営をしているぞとアピールするしかないでしょう。
職場内での人間関係悪化
これは常に発生するリスクのある内容ですね。入社後3年以内の離職理由にも毎回入ってくる内容です。正直これで辞めた知り合いは相当数いますが,人間関係の悪化なんて理由が多岐にわたりすぎて対策できないですね。それでも対策案をだすならば「若手社員が辞めたら管理職に相当のペナルティを与える」くらいしかないですね。ペナルティの内容は評定の低下が妥当ですが,厳しくいきたいならば「管理職から外す」とかでしょうかね。
これまで多くの理由を書いてきましたが上記3パターンの離職理由のうち,どれか1つだけでも辞めてしまう社員もいれば,3つ揃ってはじめて辞めてしまう社員もいます。管理職はこういった視点で若手社員は転職をしてしまう事を理解していれば,無用な人材流出を防ぐ事も可能かもしれません。
この記事を見る事で若手も管理職も悲しい結末になる可能性が少しでも減るならば幸いです。